初日に引き続き、串本町主催のイベント「宇宙フェスティバル2024」が、串本町役場旧古座分庁舎(宇宙ふれあいホールSora-Miru)で開催されました。
二日目の午前は、JAXAで宇宙飛行士の訓練設備や宇宙日本食の開発などに従事してきた中沢孝さんより宇宙食の作り方について学び、午後はロケットシンポジウムと称するトークイベントで、上垣内茂樹さんによる基調講演や、宇宙やロケットに知見のある有識者によるパネルディスカッションが行われました。
|宇宙食の作り方を学ぶ|
宇宙日本食の開発に携わってきた中沢孝さんの講義を受けるべく、宇宙食の商品化を目指す地元の事業者などが集まり、宇宙食として認定されるための条件や、宇宙食の種類、日本とアメリカ、ロシアの宇宙食の歴史などについて学びました。
また、宇宙と災害時の生活環境の共通点などから、宇宙日本食と災害食との連携が進んでいることにも注目している中沢さん。宇宙飛行士の数が少なくマーケットの限られた宇宙食、および災害食の今後の可能性を示唆しました。
柔らかくジューシーな食感。無重力でも食べやすいように、煮汁にはとろみがつけられている。
また、宇宙食になっているサバの味噌煮缶の試食や、フリーズドライと通常乾燥のゆず皮の食べ比べを実施。参加者は「フリーズドライは水で戻せば生のゆず皮のようになる」「通常乾燥のほうが自然の味に近くて美味しい」など、各々の感想を述べられました。
通常乾燥(左)、フリーズドライ(右)
|ロケットシンポジウム前半:上垣内茂樹さんによる基調講演|
この日のために、東京や大阪など地域内外からロケットへの関心の高い方々が集まった
上垣内茂樹さんは、人気漫画『宇宙兄弟』に登場する星加正のモデル役にもなっており、現在は公益財団法人宇宙少年団の理事などを務めています。
講演では国内外のロケット打上げ場の例を挙げながら、スペースポート紀伊の特徴を解説。また、経済効果や雇用の創出、教育の変化など、ロケット打上げ場の開設が地域に与えうる影響について示しました。
「宇宙開発に携わる理由として一番大事なのは、宇宙に視点を置いて物事を考えること。そうすることが、自分たちの世界観を変えてくれるのではないか」と上垣内さんは話します。
また、「ロケットの打上げは、一度見ると飽きるのではないかという声が聞かれます。私も何度も見ていますが、あれは一度見れば感動します。また見たい、多くの人に見てもらいたいという気持ちになります。打上げはスマホやカメラの画面越しではなく、ぜひ直接ご自身の目で見て体感してください」と、ロケット打上げの空気感を肌で感じることの大切さを伝えました。
|ロケットシンポジウム後半:パネルディスカッション|
左から新津研一さん、山本瑠香さん、上垣内茂樹さん、黒田有彩さん、串本古座高校の生徒4名
パネルディスカッションでは、上垣内茂樹さん、串本町出身で元AKB48 team8 和歌山県代表の山本瑠香さん、宇宙タレントの黒田有彩さん、串本古座高校の生徒4名がパネラーとして登壇。株式会社USPジャパン代表の新津研一さんがファシリテーターを務めました。
「この地域にロケット打上げ場ができたことで、どのような点に最も期待や可能性を感じますか」という問いに対し、「都市の近くで観光地があり、かつ本州と地続きのロケット打上げ場というのは素晴らしいと思います」と上垣内さん。
また、山本さんは「大学に入学するタイミングで大阪に拠点を移したのですが、一度地元から離れることであらためて串本の魅力に気づきました。ロケットをきっかけに串本の認知度が上がってきている実感があるので、串本の観光業がロケットを通じて今後さらに発展していけばいいなと思います」と串本町の魅力や将来への期待について語りました。
ロケット事業を通じて、串本町をはじめとする地域一帯がどのように変化していくのか。今後もぜひご注目ください。